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柏葉健児 目次 背番号10

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長薬野球部のお二人

 


平成7, 院平成9 年卒業 宗安 正俊

 この度の市川、渡辺両先生の訃報は誠に残念な知らせであった。今にして考えても両先生の元気でプレイするユニホーム姿が今年の野球部OB会でも見られるのではと思ってしまう。
 市川先生には、学生時代に講義を受けているはずなのだが、恥ずかしいことに正直言って想い出せない。たまたま体調不良で休学していたのだろうか?とにかく市川先生と言えば、真っ赤なユニホームを着てピッチャーする姿が想い出される。当時、還暦を迎えられた先生に野球部OB会の場で贈られたものだったと記憶している。いつまでたっても現役のプレイヤーであることは、野球をやっている人間には憧れの姿であった。
 渡辺先生については、本当に野球好きな人だなあ思った。私が入学した当初、野球部入部希望者数人が合成教室に集められた。何事かと思いきや、早速私達の野球経歴の確認から当時野球部の戦歴、今年こそは九薬連大会で勝たなければと熱く語っていた。また、こんな事も想い出す。大会前に早朝練習を行っていると、ひょっこりやって来てバットを握り締め、いきなりノックを始め出した。そう、これこそが恐怖の“三ちゃんノック(?)”であった。内野手は、一箇所に集められ右や左へ振り回されながら、段々前へ引き寄せれ強烈な打球を浴びせられた。外野手もまた、守備範囲に関係なく走り回された。みんなが疲れ果てた様子を見届け、先生は平気な顔で去っていく。あまりにもヘトヘトで、私達は次の一限目の講義は自主休講したものだった(ほんの一部の学生の話であるが)。練習試合であっても、勝ったときの結果報告をすると本当に喜んで下さったし、野球以外であっても、野球部員のことには特に面倒をみてもらった。私個人で言うと、卒業を控えた年になかなか就職先が決まらなかった時、先生に相談すると真剣に話を聞いて頂いた。「どうしても決まらない時は、ちゃんと仕事先を探してやるから」と言ってもらい、本当に安心したものであった。現在の就職先が決まったと知らせると、喜んで先生の部屋にあったウィスキーを取り出し、お祝いにと頂いた。卒業後、野球部OB会に出席すると、「明日の試合は出れるのか?」と早速野球の話であった。
こうして、両先生のことを想いだしてみると本当に野球大好きなお二人であったと思う。市川、渡辺両先生のご冥福を心からお祈りする。

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