2001年1月
 
会長 西脇金一郎(昭33)
 


 19世紀末(1890年)に創立した長薬も激動の20世紀を経て、111年目に21世紀を迎えました。今世紀が長薬にとって輝かしいものになるかどうかは、長薬同窓会の今後のあり方に大きく影響するものと考えます。創立以来、今日まで長薬卒業者は総数5593名(2000年5月30日現在)にのぼり、3826名が現存者です。かって長薬出身者は各界において主要な位置付けと存在価値を保持していましたが、今や昭和30年代に設立された私大薬学部から排出される薬学部出身者の数は急激に増加し、設立して僅か40年間に1万人を越す卒業生を出す大学もある現状で、関連業界における人的分布図が塗り変わってしまいました。もう一面では長薬のみならず薬学部出身者が圧倒的に女性の領域になってしまい、職場環境も女性主導型業種に変って来ている事です。今後、この2点は避けられない事実であり、これらを視野に入れて長薬同窓会のあり方を考える必要があります。そこで同窓会とは何ぞやと自問自答してみました。一口で言うと同窓会は同窓であった人々の集まる会合であり、同じ学校に入り同じ教師に学んだ同期生、研究室、クラブ活動、支部同窓会を通じて知り合った先輩・後輩の縦横の繋がりを持った会合であります。そしてそこには歴史に培った伝統的な絆が底流としてあるはずです。長薬同窓会には他の大学の薬学部にない誇るべき伝統的歴史があります。そのことは「長崎大学薬学部100年史」をお読みいただければ分かりますが、昨年、日蘭交流400周年記念事業のひとつとして発行された単行本「出島のくすり」は近代薬学の発祥地である長崎に誕生した長崎大学薬学部の前身、そして今日に至るまでの経過を系統的にまとめた力作であります。とは申すものの「出島のくすり」を読むまでは、長薬の歴史に関して、あまりにも知らな過ぎた自分を恥ずかしく思った次第です。今後は、ことあるごとに「出島のくすり」を紹介し、長薬の歴史をお伝えして行きたいと思います。そのためには、この度「出島のくすり」を執筆された長崎大学薬学部の教授、助教授、助手の方々にも支部例会時の特別講師としてご協力願い、歴史認識を広めて頂きたく思っています。私共、長薬同窓生は絶対的少集団であってもこの珠玉の伝統を旗印に同窓会の絆を強固にして行くべきだと思います。
同時に各位のご協力はもとより同窓会組織における女性パワーの活用と発揮が今後の同窓会運営に大きな鍵となります。従って、現在、各支部で活躍中の女子部会(福岡紫陽会、東京ユーカリ会など)の支援・育成と支部活動との共同歩調を奨めることが長薬同窓会ネットワークを強固にするものと信じて止みません。最後に遠藤武男奨学金の創始者であります遠藤先生が記されていた「同窓会の活用のしかた」をご紹介し、年頭のご挨拶と致します。
・ 就職した時、その会社に先輩が居れば早く挨拶に行き、勤務の心構えを聞きなさい。
・ なるべく多く会う機会を持ち顔を覚えてもらい、その際、会社、仕事について質問を用意しなさい。 
・ 苦労話を聞ける先輩を持ちなさい。
・ 卒業した年の長薬同窓会支部の総会に出席して自己紹介をしなさい。その席で頼りになる先輩を探してください。見つかりますよ。きっと。
(1999年第39号、遠藤武男先生(昭11)「支部長25年間の思い出」より)
 


2000年6月
 
会長 西脇金一郎(昭33)
 

 
この度、平成12年度長薬同窓会総会において新会長として推挙されました西脇でございます。 今年1月6日に急逝されました前会長故市川正孝先生の後任という事ですが、110年の伝統ある長薬同窓会の、それもそうそうたるご経歴をお持ちの方々が今日までの会長をお務めされて来た中で、浅学非才、無位無冠の私がその任をお受けする事はあまりにも厚顔無恥であり、再三、ご辞退申上げましたが、同窓会役員会の総意という身に余るご推挙を頂き、又、西暦2000年期の初頭に役を務めることが出来ますのは、むしろ光栄と思いお引き受けした次第です。
 「人生は人との出会いによるドラマだ」というお話を聞いた事がありますが、故市川前会長、そして又、2月26日、急逝された渡辺三明副会長のお二人との出会いは今日の私にとってかけがえのない縁を感じます。市川さんとは大学時代を通しての親友であり、渡辺さんとは長薬野球部同窓会の副会長として私を支えて頂いた仲です。今考えますと、そのお二人から後を頼むといわれているような気が致しております。
 私の唯一の取り柄は長薬野球部同窓会の会長を37年間続けさせて頂いていることです。お蔭で私より若い世代の野球部OB300名以上の方々が全国各地で頑張っておられますので、今後の各支部同窓会の中心的役割をやってくれると確信しています。又、福岡市在住の頃、短期間ではありましたが、由緒ある福岡浦陵会の会長を務めさせて頂いた経験を生かして、長薬同窓会の運営に微力ながら力を注ぎたいと思っています。
 任期中の私の課題は若い世代のそれも女性が大半を占めるようになって来た今日において 総会、支部会への各学年・各層の積極的参加を呼びかける「同窓会組織の強化」です。そのために1つは長薬同窓会ホームページを介しての情報交換ネットワークの構築と学年理事の活性化を考えています。インターネット人口は今年で2000万人を超え、2005年には7500万人に達すると言われています。IT革命の時代、同窓会のネットワークはホームページが中心になると確信します。同窓会諸氏の積極的なネット参加・活用を呼びかけて行きたいと思います。
 又、これは前会長のご遺志ですが、昨年3月9日、ぐびろが丘に完成した慰霊碑および遊歩道周辺の草刈と環境整備の実行です。是非、同窓会有志、教職員及び学生諸氏による定期的な実行を期待したいと思います。又、長崎にて行われる各種同窓会開催の折は慰霊碑参拝を恒例化するよう各学年理事にもお願い致したく思っています。
 昭和25ー52年度まで28年間の永きにわたり長薬同窓会会長を歴任された高取治輔先生のお言葉に「母校のためならば、場合によっては石をもて追われる身になることをも辞さない」とある同窓会報を読まさせて頂きました。高取先生はこのような信念をもって教育或いは学部の運営に当たられていたのだと感激いたしました。
 私は高取先生始め歴代会長の足元にも及びませんが、与えられた任期において「母校の為に」の信念をもって事に当たる所存です。幸い副会長はじめ本部役員、学年理事の殆どの方が新体制にご協力を頂けましたので不慣れな私ですが心強き限りです。
 今後ともよろしくご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いし、新任のご挨拶といたします。
 

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